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家族みんなが片付け上手になる!梶ヶ谷陽子さんの「我が家らしい収納」のつくりかた<インタビュー前編>

すっきりさせるより、好きにさせる

―連載では、片付けにあたって大切なのは、我が家らしい片付け方・収納方法を見付けて実践することだとおっしゃっていました。「我が家らしい収納」のつくりかたのポイントについて、あらためて教えてください。

梶ヶ谷さん:同じ屋根の下に暮らしている家族でも、考え方はぜんぜん違いますし、好きなものも全く違います。たとえば私が、ひとりよがりですっきりした家をつくっても、それは私だけの好みの家でしかないんですよね。

我が家の場合、息子だったらフィギュアを並べたい、娘だったら今お気に入りのぬいぐるみを飾りたいという気持ちがあるので、その気持ちにいかに寄り添って空間づくりをするかというのをずっと気にしながら、ここ数年はやってきました。

そのほうが子どもたちも笑顔になるし、私自身もラクできるんです。

自分の大好きな空間にいると、「これは、ここに飾りたい」といった子どもたちなりの自分のこだわりがでてくるので、私が手をかけなくても、「これは、ここに戻すんだよ」といった感じで、使ったものは自分で元に戻してくれるようになったんです。

そんな子ども達をみて、「すっきりさせる」ことよりも、「好きにさせてあげる」ことのほうが、お互いにとって良いんだなということに気づきました。

一方、家族の共有の場所は、個々の場所の考え方とは切り離しています。
個々の場所は、それぞれが好きなように心地良いようにしていいよと言っていますが、家族共有の場所は、一番片付けが苦手な人に合わせています。それが、一番片付くからです。

うちの場合でいうと、息子がまだ5歳なので、息子にも分かりやすいように収納ラベルを「文字+絵文字」のラベルにしたりだとか。

自分だけの場所なら、私も自分好みのオシャレなラベリングにしたいんですけど、でも共有の場所でそれをしてしまうと、私の「ひとりよがり収納」でしかないので、それは避けなきゃなと思ってます。

子どもには、「もの」と関わらせてあげる

―家族にあった“やりかた”が見つかれば、自然と片付くということですね。家族にあった“やりかた”を見つけるコツはなんでしょうか?

梶ヶ谷さん:私は、2011年に整理収納アドバイザーの資格をとったんですが、そのときに「ものと関わることの大切さ」と、「片付けって、やり方さえわかればみんなできるんだ」ということに気づきました。

それで、資格をとって初めて、学んだことを反映させて、当時3歳くらいだった娘と片付けをしたんです。そしたらもう、目からウロコというか、子どもでもこんなにはっきりと好きなものを選んだり、ここに置きたいという意思があるんだということを発見して驚いちゃって。「こういうことか! 」と(笑)。

娘がもっと小さい頃は、危ないからとものを隠すようにしていましたし、「自分がやったほうが速い」と思っていたので全て自分で片付けていました。

一緒に片付けをしてからは、娘は自分で収納場所や収納方法を選ぶようになったし、自分でお部屋づくりも楽しむようになりましたし、ものとの関わりもすごく上手になりました。

―「ものとの関わりが上手」というのは、どういうことですか?

梶ヶ谷さん:ものがあふれちゃうのって、「これでいいや」で買っちゃったりだとか、そういうことだったりしますが、娘は本当に気に入ったものしか手に入れようとしないんです。

それから、娘は本が大好きなんですけど、「スペースには限りがある」ということをよく分かっていて、欲しい本があるときには、読んでない本をリサイクルショップに持って行って手放してから買うということをします。

私からは、「大好きな本をここに置くなら、パンパンになっちゃったら入らないよね」という単純なことしか言ってないんですが、一定量が分かっているんですね。

人それぞれの、“やりかた”がある

―息子さんの場合は、いかがでしたか?

梶ヶ谷さん:息子のときも、意外な発見がありました。娘のときは、大事なものを引き出しにしまったり、ケースにしまうことが大好きだったので、最初はそれを息子の収納でも反映させたんです。大事なおもちゃは、引き出しにしまいたいのかなと思って。

そしたら、息子はぜんぜん違っていて。余計に散らかってしまったんです。
それで、どうしたいのかなということをよくよく聞くと、「大好きなものは、全部飾りたい」と言うので、全部飾れるようにしたら、そこから開花しました! 息子自身のこだわりが。

ウルトラマンはこの並べ方、今日はここに仮面ライダーを飾るとか。順番を私が入れ替えようものなら、気づきますから。「違う」って(笑)。

もしかしたら、娘より息子のほうが細かいのかなと、最近思っていて。めんどくさい男子になっちゃうのかなって、ちょっと心配してます(笑)。


―旦那様がコレクター気質で、それを見て育ったから……というようなことはあるのでしょうか?

梶ヶ谷さん:いやいや、全然! 夫は、出会ったときは散らかり放題の足の踏み場もないような部屋に住んでいました。

でも、いま住んでいる自分で建てたこの家では、気を使っているのか積極的に片付けてくれますね。片付けてくれるっていうか、片付けやすいようにしているからという理由もあるんでしょうけれども、散らからないですね。

私以外に「収納のVIP席」を持たせる

―それも、旦那様の“やりかた”にフィットしているからなんですね。

梶ヶ谷さん:私が、家の収納でこだわっているのが、「私以外に『収納のVIP席』を持たせる」ということです。

たとえば、玄関収納でも、VIP席、つまり一番しまいやすい場所を夫用にして、帰ってきたらすぐカバンを置けるようにしていたりだとか。
良い場所ほど、家族それぞれのための収納をつくっているから、片付けやすいのかもしれないですね。

収納方法も、最初の頃って、美しい収納というか、すっきりさせるのが一番いいのかなと思っていたんです。そういうのが私、好きですし。でも、子どもたちは、そういうのは大嫌いで(笑)。

最初は、子どもたちの本や教科書も、すっきりとファイルボックスに収納していたんですが、引き出すのが面倒、中身もわからないし、戻すのも面倒くさいということで、全部変えました。
そうして、子どもたちにとってラクな収納にするほど、片付けをして維持してくれるようになりました。

夫も、実は、生活感がでるのが嫌なんですって。最近、知ったんですけど(笑)。でも、子どもがいたら仕方ないよね、ということで今のかたちに収まっています。
家具選びには、夫の好みを反映させています。キッチンもすべてオーダーなんですが、夫が決めました。その方がお料理してくれるので、ありがたいです。キッチンは夫が使いやすい収納にすることで料理を積極的にしてくれるので助かっています。

整理収納を工夫するのは、楽しいです。家族にハマってくれると、私も家族もラクなので。みんなが、自分のことを自分でやれるというのはお互いにとってノーストレスですしこんなにラクなことはないですね。

―家族のひとりひとりがやりやすい整理収納の工夫が、家族みんなを片付け上手にしているのですね。

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